災害は忘れた頃にやってくる。まちの歴史は、さまざまな自然災害との戦いの歴史でもあります。人が到底叶うことのできない自然の力を前に、荒ぶる「人智を超えた存在」たちの姿を想像しました。そして、それらが鎮まるよう、願いをかけ、平安を想い、祈ることを繰り返してきました。そうした営みは、伝承や信仰などの文化の中に深く刻まれています。

今回は名古屋市西区、庄内緑地周辺を歩きながら、水と人の戦いの足跡を辿ってみたいと思います。大災害を予言して住民避難をさせた人物、大蛇の伝説の残る池、大規模な洪水が予想される際に使われる緑地帯から、暗渠となった用水まで。命を守り、暮らしを守るためのさまざまな術を、まち歩きを通してみてみましょう。