今から116年前の明治41年、地元の実業家・岩瀬弥助が、本を通した社会貢献を志して創設した私立図書館として誕生した西尾市岩瀬文庫。全国の古書店や古美術商などから蒐集した蔵書は8万冊余り、国の重要文化財「後奈良天皇宸翰般若心経」(戦国時代)をはじめ、その多くが江戸時代以前の書物=古典籍です。

骨董的価値が高い、かしこまった書物ばかりではありません。名もなき人が日常をとつとつと綴ったような素朴な本も積極的に集められており、教科書には載らないようなその時代の暮らしぶりや思いなどを窺い知ることができます。

このツアーでは、室町時代から現代まで親しまれている「茶」についての薬として、茶を研究し効能を記した本や近代以降に発展した産業として栽培方法を記した本をはじめ、当時の人々が楽しみ・親しんでいた多様なお茶の世界を窺い知れる古典籍をご紹介します。さらに今回は特別に、西尾でお茶農家をしている朝日製茶園さんにお越しいただき、明治以降の西尾のお茶づくりの話を聞きながらお抹茶を1杯いただきましょう。

日本のお茶の始まりから西尾の抹茶が現代に至るまでの歴史の厚みを学芸員さんの古典籍解説と現役お茶農家さんのお話、西尾の抹茶の一服からお楽しみください。