今から117年前の明治41年、地元の実業家・岩瀬弥助が、本を通した社会貢献を志して創設した私立図書館として誕生した西尾市岩瀬文庫。全国の古書店や古美術商などから蒐集した蔵書は8万冊余り、国の重要文化財「後奈良天皇宸翰般若心経」(戦国時代)をはじめ、その多くが江戸時代以前の書物=古典籍です。

骨董的価値が高い、かしこまった書物ばかりではありません。名もなき人が日常をとつとつと綴ったような素朴な本も積極的に集められており、教科書には載らないようなその時代の暮らしぶりや思いなどを窺い知ることができます。

今年は、大河ドラマ『べらぼう』で主人公の蔦重や江戸の本について注目が集まっています。岩瀬文庫はその宝庫です。蔦屋重三郎をはじめとする多くの版元たちが出版した黄表紙を中心に、読んで・見て楽しい江戸の人々を魅了した本の数々を展示する「江戸の出版文化と蔦屋重三郎~楽しすぎるよ!江戸の本~」を開催中です。

このツアーでは、特別展を担当学芸員の解説付きでじっくりご観覧いただき、後半は蔦重や江戸の出版にまつわる古典籍を実際にお手に取って楽しんでいただきます。