今から116年前の明治41年、地元の実業家・岩瀬弥助が、本を通した社会貢献を志して創設した私立図書館として誕生した西尾市岩瀬文庫。全国の古書店や古美術商などから蒐集した蔵書は8万冊余り、国の重要文化財「後奈良天皇宸翰般若心経」(戦国時代)をはじめ、その多くが江戸時代以前の書物=古典籍です。

骨董的価値が高い、かしこまった書物ばかりではありません。名もなき人が日常をとつとつと綴ったような素朴な本も積極的に集められており、教科書には載らないようなその時代の暮らしぶりや思いなどを窺い知ることができます。

大河ドラマ『べらぼう』で、主人公の蔦重や江戸の出版文化に注目が集まっていますが、岩瀬文庫はまさにその宝庫。現在岩瀬文庫の蔵書を通して江戸時代の出版事情と蔦重の活躍を紹介する特別展「江戸の出版文化と蔦屋重三郎〜日本出版物語〜」を開催しています。

このツアーでは、特別展を担当学芸員の解説付きでじっくりご観覧いただき、最後は蔦重や江戸の出版にまつわる古典籍を実際にお手に取って楽しんでいただきます。