発酵・醸造文化が盛んな東海地方にはさまざま醤油の蔵があり、私たちの食文化を支えてきました。醤油は大きく、濃口、淡口、再仕込、白、そして溜と5種類に分けられ、その中でも「溜醤油」は東海地方の味の代表格。「豆みそ」をつくる過程でにじみ出た液体を取り出したのがはじまりで、材料のほとんどが大豆のため、うまみ成分やタンパク質が豊富に含まれているのも特徴です。今回はそんな溜醤油の蔵を醤油ソムリエールの黒島さんと一緒に訪ねます。

三重県鈴鹿市に蔵を構える「東海醸造」は、元禄年間創業の老舗醤油蔵で、伝統の味を現在も守り続けています。同じ木桶から醤油も味噌もとるため、ひと桶からとれる溜醤油の量は、仕込み量の1割以下。さらに「寝かせることでフルーティになる」と、5年間も熟成させる贅沢な造りを貫いており、その味わいは酸味と甘味と旨味が唸るほど究極に濃厚で、まるで濃縮プルーンのようです。また現在は、一般の方への蔵見学は行っていない為、蔵に入れる貴重な機会となります。

日本の代表的な調味料でありながら、実はよく知らないことも多い醤油の奥深い世界を覗いてみませんか?